中小企業が作った年金基金がAIJ投資顧問のターゲットなった理由

中小企業が作った年金基金の担当者の9割は資産運用業務の経験がなかった

年金基金の担当者はこれまで投資のプロと見なされてきました。

AIJ投資顧問の被害に合った年金基金の担当者も同様です。

しかし、実際は運用知識に乏しい担当者も多く、問題発覚後の調査によると、運用担当役職員のうち証券アナリストやファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ人はたったの2%で、9割は資産運用業務の経験がなかったことが分かっています。

AIJ投資顧問はこのような状況につけ込んで、言葉巧みに資金を集めていました。

浅川和彦社長が野村證券出身というネームバリューも影響したようです。

また、中小企業が集まった年金基金の場合、「誰かがちゃんとやってくれているんじゃないか」という感覚になってしまったことも原因としてあるでしょう。

独自に企業年金を運営している大企業の場合、自分の会社の従業員のための制度なので、担当者には企業の財務の専門家が派遣され、自分の会社の年金基金ということで慎重に綿密に運用されます。

ところが、中小企業が集まっている年金基金の場合は、そのような感覚が薄くなってしまいました。

このような構造的な欠陥が、AIJ投資顧問が資金を集める際には好都合だったのです。

今回の一連の事件では、AIJ投資顧問が加害者で年金基金の担当者は被害者のように映るかもしれません。

しかし、年金基金の担当者は投資のプロとして、AIJ投資顧問の行き過ぎた運用実績が虚偽報告であると見抜けずに大きな損失を招いたという意味では、加害者でもあるのです。

なぜなら、虚偽報告を見抜くのも年金基金の担当者の仕事の1つだからです。

さらに、AIJ投資顧問に運用を委託していた厚生年金基金に天下りしていた国家公務員のうち、その9割は厚生労働省と旧社会保険庁(現・国民年金機構)のOBだったという事実から、担当者に対する同情の余地はないと言えるでしょう。

中小企業の総合型年金基金の運用悪化によって連鎖倒産が起こる仕組みに続く

  
  
  
このサイトをはてなブックマークに追加